ヘルシンキの公園に「エゾヤマザクラを咲かせよう!」プロジェクト、スタート
会長 井口光雄
ヘルシンキの郊外ロイフヴオリ桜公園は、花見の名所として最近知られるようになりました。花見は5月の中頃で、特設のステージでは日本の武道の演技や踊りが披露され、屋台では今川焼も売っているなど、ヘルシンキ在住の日本人ばかりでなく多くのフィンランド人家族が繰り出してにぎわいます。今年の日刊紙「ヘルシンキ・サノマット紙」には花見を伝える記事も掲載されました。
この桜公園ができたのは2007年で、約150本の桜が植えられています。ヘルシンキの日本雑貨スーパー「東京館」の冨田憲男さんの提案で始まり、ヘルシンキ市を動かして実現しました。でも桜の苗木はオランダから持って来たそうです。富田さんも日本の桜を考えられたようですが、代表的なソメイヨシノや八重桜は、北緯60度で冬には零下30度にも下がるヘルシンキでは無理と思われたようでした。
昨年秋、フィンランド日本協会の創立75周年の祝賀会に、10名の当協会の役員、会員の皆さんと一緒に出席した私は、席上「ヘルシンキには、同じような北方の気候風土を持つ北海道の桜〝エゾヤマザクラ″が最適、是非実現しましょう」と提案しました。富田さんから桜公園の事を聞いており、フィンランド日本協会長のMatti Enestamさんの意向も確認した上での提案でした。
帰国後。一緒に祝賀会に出席した井幡常務理事が、早速、エゾヤマザクラや他の北海道の桜の調査を始め、苗木の入手や移植方法、さらにフィンランドへの搬送方法についても熱心に調べて下さいました。
そして6月、井幡さんの手配で入手したエゾヤマザクラやさらに寒さに強いとみられるチシマザクラの苗木を持って、私は妻と一緒にヘルシンキに向かいました。迎えて下さったMattiさんらと早速、ヘルシンキ大学園芸学科を訪れ、ガーデニング主任のKatja Uskiさんに持参した2種の北海道の桜の苗木を見せ、大学の苗畑で生育してもらうことになりました。(写真参照、Matti さん、Katjaさんと2種4本の苗木)
このほか、ヘルシンキの友人Forsbergさんの自宅や郊外にあるMattiさんの別荘、更にHelsinkiの北、100キロ程にあるAsikkalaのMikko Kyostilaさんの庭(左の写真)にも、テストのために移植しました。
試験生育の結果は1年半程度で判るでしょう(右の写真は、順調に生育するForsbergさんの庭のエゾヤマザクラ。7月20日撮影)。
成功すれば、2年後の2013年春にでも、大量のエゾヤマザクラなど北海道の桜をヘルシンキの桜公園に移植する計画です。
そして5年後くらいには日本(北海道)の桜も加わった本物の花見をヘルシンキに住む日本人の皆さんやヘルシンキの市民の皆さんに大いに楽しんでもらえるものと期待しています。
頑張れ、フィンランドのエゾヤマザクラ!チシマザクラ!